走禅・つれづれなるままに
マラソンシーズン本番に備え、夏以来ほぼ毎週日曜日に長居公園外周道路タイムトライアルをしていました。2002年のワールドカップをはじめ、Jリーグの試合や陸上競技の大きな大会がここでは頻繁に開かれます。日曜日には中学生たちが「一走入魂」や「限界突破」などの文字が背中にプリントされたTシャツを着て外周道路を走っています。そう、ここは彼らにとっての聖地なのです。
そんな中、彼ら中学生のTシャツで「陸上は 投げて走って 跳ぶんやで」・・という川柳が背に書かれたものを見かけました。身体じゅうの汗を絞りきりつつ荒い呼吸と共に(それくらい知っとるわい!)と腹の中で叫ぶ。そして、その中学生君の背中を追いつつ考えました。陸上競技は走るのが苦手でも跳んだり投げたりと、自分の得意な分野で勝負すればいい。なんだか、仕事を含め人生にもそのまま言えることのような気がしてきて、追い抜きざまTシャツの主に、腹の中で(サンキュー!)と叫びました。
今年の夏、この場所で某アイドルグループのコンサートにやって来た九州の若い女性二人が落雷により亡くなるという痛ましい事故がありました。あれから2ヶ月以上。当初は携帯やスマホで写真を撮る輩を多く見かけ、走りながら横目で睨みつけつつ、こいつら・・という気持ちを禁じ得ませんでした。他方、花やジュースなどのお供え物は、毎週来るたびに増えていくのが目に見えてわかるほど。あれから2ヶ月以上経った今では、お供え物の量もさることながら、てっぺんから根っこ近くまで落雷によって裂けてしまった木に向かって掌を合わせる人を多く見かけるようになりました。世間って、捨てたもんじゃないな・・・
物騒で暗いニュースばかりが目に付くようになった昨今です。とは言っても、それは今に始まったことではなく、「最近の若い者ンは・・」と古代エジプトの文献にも書いてあったと言います。
(BC400年頃にプラトンが言ったとも言われているそうですが)。ともあれ、そのような暗いニュースは、自分がそのような目に遭わないようにするための教訓や、身近にそのような目に遭った人がいた場合に助けの手をさしのべる為の知識にでもなれば十分であって、そんなニュースに注目し続けていても、幸せな気分にはなれますまい。
難解で不愉快なニュースを追うよりも、前を走る中学生の背中でも見ていた方が、よほど前向きな気持ちになれるような気がします。