夢のオリンピック

今年春の平日夜9時過ぎ。出身校の校友会地域支部・役員打ち合わせが終わり、さて、腹が減ったので軽く食事でもということになりました。市内とはいえ寂れた商店街はただでさえシャッター通り。ましてや平日の夜のことであたりは真っ暗。少し歩き、商店街を出たところに提灯が灯っているお好み焼き屋さんを見つけました。ガラリと戸を開けると店内は意外にも大にぎわい。
「いらっしゃいませッ!」 気合いのこもった声に迎えられて6~7名がぞろぞろと店内に入る。
最後に私が入り、揃っていなかった履き物をそろえ、座敷に上がろうとすると、
「ありがとうございます!」という大きな声が。(え?おれ??) 振り返ると、カウンター内2名とホールにいた1名の店員のお兄さんが、手を止めてこちらに向かって軽く礼をしている。
忙しそうに動き回りながらも、客の小さな動作も見逃さない。「スマイル=¥0」なんてコピーに感心したりもしますが、店員さんたちのプロ意識に感動。繁昌店の理由の一つを見届けた思いでした。

やがて、お好み焼きや焼きそばをビールで流し込みながら、数カ月ぶりに会う先輩方と近況報告
になりました。ゴルフがシングルになった、ライオンズクラブの会長になった、初孫がかわいくて仕方ない・・などなど。極めて地味で単調な日々を送る自分は、昨年、マラソンをはじめ、初フル3時間30分、二回目27分で走りましたと言いました。すると先輩の一人が、

「あと1時間(タイムを)縮めて国籍変えたら、オリンピック出れるやん。行け行け」と言う。
(えっ、オリンピック?) 驚きつつもよく考えてみればカンボジア国籍あたりを取得すればその通りかも・・・。しかしながら、どの種目であれオリンピック出場がいかに大変であるかくらいは想像でき、すべての出場選手には心より敬意を抱く者としては、冗談にもはい、がんばりますなんてセリフは出てきません。
「あと20若かったら死ぬ気で行きます」また、「国籍は変えたくありませんから」なんて言い訳をのみ込み、「あと10分くらいはいけると思います。がんばります」

・・・ということで、昨年は同業者との忘年会で、そして今年はこのような形で自分を追い込む宣言をしてしまいました。”走るしんどさより、走れないつらさ”。不安や心配事で夜眠れなかったり、食事が喉を通らなかったりということは誰にだってよくあること。
そんな中、腹減らしのまねごとができることのしあわせとありがたさ。しんどい、つらいなんて言ったらそれこそ罰が当たります。ただ、勢いで10分と言ってしまいましたが、今からでも5分くらいに訂正できないものかと、自分の軽率さを少し反省しています。ともあれ、言ってしまったのだから仕方ない。既にエントリーしているレース、チャンスは3回。今年秋のレースに向けて追い込み開始。最後に・・・がんばれ、ニッポン!オリンピック選手たちの健闘を祈ります。

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