日本代表なんです

日本勢過去最高のメダルラッシュでリオデジャネイロ・オリンピックが幕を閉じ、アスリート達が日本人の力を世界に見せつけてくれました。競技そのものはもとより、 インタビューや立ち居振る舞い、悔し涙までも、全てにおいて彼ら彼女ら若い日本人たちが美しく輝いて見えました。最近の日本人、カッコいいなあ・・・。

海外放浪・出稼ぎ時代、豪州・ケアンズにいた頃の話です。いつものようにキッチン ハンドとしてホテルの厨房で洗い物や片づけなどをしていると、オーストラリア人で同 じ年の調理の青年が困ったような表情で、やっかいな日本人観光客がいるので来てくれ、と言います。洗い場からメイン厨房に行くと、騒々しい日本人数名の中年グループが、 自分たちがケアンズ沖でのトローリングで釣ってきた魚をここで調理して食わせてくれ と無理な注文をする。姿かたち、立ち居振る舞い、全てにおいて下品極まりない連中で、初対面の私をおまえ呼ばわりしくさる、もとい、してくださる。しかしながらお客様の おっしゃること、個人的感情は抑えつつ義務教育以下の英語で調理スタッフに彼らの 要求を伝え、おっしゃることに対応してもらうことになりました。しばらくして食事 が終わった彼らから再度私に呼び出しがあり、仕事が終わったら自分たちの部屋に来て、オーストラリア特にケアンズの不動産について教えてくれ、と言う。時は1987年 バブルが膨らみ続けていた頃、特に不動産業者というわけでもなそうですが、ともあれ 彼らは土地を買いにやって来た日本のおっさんたちなのでした。

やがて深夜1時過ぎ。仕事終了後、先ほどの連中に指定された2名の部屋を訪れたの ですが、2人はほぼ泥酔状態で醜悪さは更にパワーアップしている。(やれやれ、最近 の日本人ときたら・・・)。一応、私なりに職場のスタッフ数名から仕入れた情報提供 をと思っていましたが、カネ儲けの才覚や人脈自慢が止まらない。仕入れた情報を提供 するのを止め「ここはまったく魅力の無い土地です。投資はやめた方がいいですよ」と アドバイスして差し上げました。今では、グレートバリアリーフの玄関口として日本人にも大人気の地になっていますが当時は日本からの直行便がやっと就航したばかりで日本人にとって、まだまだマイナーな土地でした。 彼らが私の心からのアドバイスに従って、ケアンズの土地やホテル手を出していないでくれたらいいのですが・・・。それにしても、そのおっさんたちを遠巻きに見てい たオージーを中心とした調理場のスタッフたちの冷ややかな目と、(私はといえば)その 視線をさけるようにしておっさんたちに対応していたことを思い出すことがあります。 (日本人って、こんなヤツらばかりか、と思われるのが悔しくてなりませんでした)。 いまではイギリスBBCかどこかの調査によると、日本人は世界最良の観光客という称号も与えられているそうです。日本人の民度が上がったのか彼らがどこかへ行って しまったからなのか。彼らの生命力は半端ではないはず。今はなにをしているのでしょうか。 会いたいとは思いませんが、少し興味はあります。

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