脱・鬱の時代

年末をひかえた慌ただしい時期、旧い友人二人と別の機会に食事を共にしました。一人は高校時代の友人でかなり以前このコーナーに登場の現・高校教員の野球部T君。彼には厄年と大殺界と天中殺が同時にやって来たようなドツボに嵌ったような時期にずいぶん精神的に助けてもらったことがあります。そしてもう一人は昨年仕事で来阪した折りに26年ぶりに再会し、今回も仕事で来阪した沖縄のI君。偶然ですが二人には共通点がありました。それは、現在鬱病で療養中という点。ということで、今回は沖縄のI君のお話を。

昨年1月の来阪に続き、資格試験と研修の為に来阪したI君、前回に比べてかなり回復しているのがわかりました。会社を経営しつつ就業者支援の学校を開校し、更に自らも障害者2級のI君、リハビリと共にライフワークである障害者支援の施設を作るという夢に向け邁進の日々です。
以前、アフリカ大陸ドタバタ珍道中について書いたことがありましたが、I君に聞いた彼の当時のエピソードを2つほど。

大学時代、I君の所属するワンダーフォーゲル部に、全く笑わないおとなしい女の子が入部してきました。いたずら心を刺激されたI君が言いました。「僕さ、手品が得意なのさ。君の指をこの世から消してあげるから、指をだして目を閉じてごらん」 いぶかしがりながらも指を出す彼女。「1・2・3、ハイッ!」 そっと目を開くと、彼女の指はI君の鼻の穴に突っ込まれ、I君がじっとこちらを見つめてる。次の瞬間、女の子はその場で笑い転げていました。

更に遡ってI君が高校生の頃のこと。同級生に、プライドが高く、孤高の姿勢を保つ優等生タイプの少年がいました。いたずら心旺盛な仲間たち、すぐ近くでそしらぬ顔をしているその少年に(もちろんわざと)聞こえるようにI君が言いました。
「○○通りのマクドナルドの前のマンホールの上に、金曜日の夕方6時に立っていると彼女ができるんだってさ」「ええ~、ほんと?」「ほんと、ほんと。百発百中らしいよ」
細工は粒々、とばかりに悪ガキどもが、金曜日夕方6時に現場にやって来ました。ものかげからそっと見ていると、はたせるかな、優等生タイプのその少年、マンホールの上に、一人、じっと立っていました。ものかげで笑い転げるI君たち。ほんとに罪つくりなヤツです。

そんな破天荒なI君でさえ鬱病になるこの世の中、我々“普通の”人間が正気を保ち生きていくのが精一杯であったとしても不思議ではありません。人生は ニコニコ顔の 命がけ・・。がんばっている人を見ると、いつもこの川柳を思い出します。

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