気になるなあ

今年春頃のこと、大阪府下某企業に仕事で行った時のことです。食堂近くの植え込みの中央あたりをふと見ると、石碑がありました。書かれた文字を目で追うと、「○○(企業名)100周年に向けて”タイムカプセル”ここに埋蔵」 「平成元年(1989年)○月○日」。(へぇ~、タイムカプセルか・・・)
あの中には一体どんなものが入っているんだろう。今すぐ掘り返して見てみたい!そんな衝動に駆られながらも用件を終えると後ろ髪を引かれるような思いでその場を後にしました。一体、何があの中に入っているんだろう。タイムカプセル。なんだか夢がありますね。

初夏のこと、毎週土曜日朝の習慣で車の清掃をしていました。バンの雑巾がけを終え、次にトラックのボディーをというときに、フラフラと車道を行く自転車が視界に入りました。雑巾の面を変えるために裏返し、袖のあたりで汗を拭おうと顔を上げると、それは80歳代半ばくらいと思しきおじいさんでした。(あぶないなあ・・・)
再度、掃除に意識を戻してしばらくすると、どこからともなく声がする。振り向くと、先程のおじいさんが、自転車を降りて私に話しかけている。聞き取るのがやっとのか細い声で、家にある洗濯機と冷蔵庫をそのトラックで、すぐそこにある老人ホームまで明日の朝、運んでくれないか、と言う。基本的に、一見さんの、しかも家庭用の仕事は請けないことにしているが、今までの苦労がそのまま滲む幸(さち)薄そうなその表情を見ると、無碍に断るのも憚られる。少しのやりとりの後、「あしたの朝、この時間に来てくれたら手伝うよ。昼過ぎくらいまでは待ってるから。但し、お金をくれるんなら、(仕事を)せんから」
お金の受け取りを断ったのは、半分は同情心から。あとの半分は正直なところ、お金をもらって仕事として請けたら、様々な責任が生じるからという逃げの気持ちから。なんとなく複雑そうな家庭環境まで想像してしまったのでした。
「ほな明日の朝、来るから」 ほっとしたような表情に変わり、嬉しそうに右手を上げ、おじいさんはまたフラフラと自転車に乗って行ってしまいました。(それにしても・・・大丈夫かいな)

そして翌日。早朝から、来ているよとアピールするためトラックのドアを開けっ放しにしてトラックと2F事務所を行ったり来たりしているうちに、お昼を過ぎてしまいました。そう言えば昨日は、娘が来るから今日の(依頼の)件を報告する、と言ってたっけ。詳しい事情はわかりませんが、通りかかった店の兄ちゃん(おっさん?)に色々頼むと、仕事はするけどカネはいらんなどと言ってると報告したら、あやしい、と娘さんに止められたのだろうか。それとも他に何か事情でもあるのだろうか。ともあれ、無事に入所できていたらいいのですが・・・。
何も考えたくなくなるほど暑かった夏が終わり、考えなくてもいいことまで考えてしまう秋がやってきました。相変わらず慌ただしく時間は過ぎていきますが、ふと思い出すと気になって仕方ないこともあるものですね。

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