仕事あれこれⅡ

ほぼ1年ぶりに大阪府下某所の産業給食の現場を訪れました。軽作業の準備をしつつ、パワフル
でアグレッシブな女性調理師さんに、まずはご機嫌伺い、っと。 
「こんにちは~、久しぶりです。今日はちょっとお疲れみたいですね」
姐さんが疲れ気味の理由を語るには、昨年春より、栄養士の資格をとるべく専門学校に通ってお
り、この日は週末ということで疲れもピークとのこと。日々の生活は、まずは家事を済ませてから出勤。仕込みの段取りをしてから専門学校へ行き、自分の娘さんと丁度同年齢の同級生と机を並べ、そして夕方にはまた職場に戻ってきて後かたづけ。帰宅後には、もちろん家事が待っている。そんな日々で、睡眠時間は毎日4時間程度とのこと。正直なところ、ちょっと苦手なタイプの人でしたが、たちまち恐れ入ってしまいました。恐らく四十の坂を登りきったと思われる年齢。資格を取得し、いくらか昇給して定年まで勤めあげたとしても、授業料のモトはとれますまい。金銭的には全く間尺に合わない行動に、ひたすら脱帽。夢や目標でもできたのでしょうか。

昨年春頃のこと、管理栄養士さんとお話する機会に自分の栄養に関する知識が全く不足している
ことに気づいたのと、また、はじめたばかりのマラソンには必須ということがわかったため、毎日15~20分程度、栄養に関する勉強のまねごとを始めました。本にアンダーラインを引いて食品に関することをノートに書き写すというのは、小学生の頃の家庭科の授業以来でしょうか。そんなある日、テキストの中にこんな一節を見つけました。

「コメは、それ自身の味が弱いため、副食との相性がよいのが特徴です。和食はもちろんのこと、
中華料理、洋風料理のいずれにおいても主食として利用することができます」

なにを今さら、と思ったものの、(ん?それ自身の味が弱いにもかかわらず、いや、弱いからこそ何にでも合って、いつのまにか主食と呼ばれて食卓では主役以上の役割を演じている?・・これって、ものすごいことじゃないか)。副食の好き嫌いは各人あっても、コメを嫌いという人には会ったことがない。自己主張などせずともいつのまにか主役になっているコメ。う~む・・・感動。なんだか自分の進むべき方向性を、はからずもコメに教えられたような思いです。糖分と糖質、栄養分と栄養素などの区別さえ曖昧というレベルながら、このような発見があると、たとえ錯覚にしろ1mmでも前へ進んでいるんだという自己満足くらいは得ることができます。栄養士を目指す予定はありませんが、勉強もどきは当分続けることができそうです。

追記:先日、更に一年ぶりに伺った時にその後の様子を件の姐さんに訊ねると、「給料はちょっとだけ上がったけど、仕事量が増えて(専門)学校に通ってる時よりしんどなった」とおっしゃってました。デキる人はつらいよ・・・

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