ゴールはゴール・・・ドコーストです

三重からの仕事帰りの道中、久しぶりに奈良にあるマラソンの師匠が施設長を務める特養を訊ねました。仕事のピークも一段落したため緊張が緩み、同時にあれやこれや いらぬことを考えていると胃が痛くなり、月間走行距離も伸びずと公私ともに中途半端な日々で、喝を入れてほしかったから訪問したというのが正直なところでした。

以前、このコーナーでもご紹介しましたが、師匠とはじめて会ったのが7年ほど前。 その時には「2019年の5月○○日に60歳になる。その日を以って退職して、その足 で主宰するランニングクラブの友人10名ほどと一緒に伊勢まで走る。そこからヨット で四国に渡り、ラン(走って)で四国88か所を巡礼する」と言ってました。気が付くと その日が2年後にまで近づいており、今は権限移譲や組織の分離独立など“X-day”に 向けて自分がいなくても組織がまわるように組織を変えつつあるとのこと。そういえば、数ヶ月に一度ここにお邪魔するたびに、スタッフの方々の挨拶の声や顔つきが違 ってきているような気はしていました。以前は、マラソン好きのおじさんが仕事を引 退したら好きなことをするんだなあ、という程度の認識でしたが、よく考えてみれば そのためには様々な仕掛けが必要。X-dayに向けて日々努力や工夫をする。なるほど 夢や目標には日付が必要なのか。そして、プライベートの目標がそのまま仕事での 目標に転化されることもあるのか。新鮮な驚きでした。

以前、業界のユニークな経営者のおっさんが、飛行機は一旦離陸したらいつかは着陸 する。どこに着陸するか経営者は自分で決めないかん、という意味のことを言ったの をご紹介したことがありました。その後のそのおやじ、今では社長の座を他人に譲 って相談役に納まり、所有する工場の賃貸収入で暮らしています。たまに仕事のことで電話をすると、「今、上海」また、「今、嫁はんとフランス」などというこたえが 返ってくることがあります。その工場の仕事がきちんと回っているかどうかはちょっ と「?」ではありますが、とりあえず言った事を実行する姿勢には頭が下がります。 翻って自分は・・。何も思い浮かばないので、奈良の師匠のパクリで、「2022年7月 の豪州・ゴールドコーストマラソンに出走し、今と同じタイムで完走する」と決めました。そこは30年ほど前の出稼ぎ放浪時代に毎日不安な気持ちで職探しをしていた 土地なのです。小説風に言えば、あの頃の自分に逢いに行く、といったところでしょうか。今の状態ではそれは寝言に過ぎませんし何から手を付けていいのやらと途方に 暮れてしまいますが、それに向けて公私ともに改めてもう一度気合を入れ直しています。私の周囲のちょっと変わったおっさんたちが、急にとてつもなく偉く思えてきま した。いえ、よく注意して眺めてみれば、私たちのまわりは本当はすごい人でいっぱいなのかもしれませんね。

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