そして誰もいなくなった、けれど
12月の第二日曜日、例年のように奈良マラソンが開催され、今回をラストランにす
るという師匠の応援に出掛けました。マラソンなどの運動をする60歳代で1型糖尿
病患者は日本全国でも数えるほどしかいないらしく、治療を受ける大病院では担当医
は珍しい“実験材料”を前に大喜び(?)で「モルモット扱いされててかなわんわあ」。
インシュリンを打ちながらの練習や、ランの途中で血糖値が急激に下り意識を失いか
けたりということが再三あったため、周囲の心配の声に押されてとうとうマラソンを
止める決意をしたとのことでした。
そんな師匠にスタート1キロあたりで声援を送り、次はキツくなるであろう天理の山
越えの25キロ地点あたりに移動するため奈良市内から電車で移動しました。応援に
まわるのは今回がはじめてでしたが、列車内は通勤ラッシュ並みの大混雑ぶり。老若
男女、たくさんの人が手書きの幟(のぼり)や旗、横断幕などを手に、応援するラン
ナーのことなどを楽しそうに語りあったりしています。
(はあー!みんなやさしいなあ。日本って本ッ当にいい国だなあ・・いや、人の心っ
て本当に暖かいもんだなあ・・)いつもはランナーとして参加しているため、知るこ
とのない世界を目のあたりにしました。忘れられない感動的な光景でした。
さて、ラン友のA君が朝ラン中の交通事故によりこの世の人ではなくなり、そして
今回は師匠が病を得て走るのをやめてしまい、ランの話ができる人が私の周囲から
居なくなってしまいました。日々、不平や不満がないことはないけれど、
毎日生かされ走ることができるだけで多分私はしあわせなのでしょう。命あっての
物種。どうぞ皆さま、健康には十分にご留意の上お過ごしください。